2014年7月18日金曜日

映画『ほったまるびより』【レコメンlogue】

モノ言いたがりのmonologueスタッフがレビュー的な何かを綴る【レコメンlogue】、
ひっそり勝手にはじめました。 



初回は現在公開中の映画『ほったまるびより』について。
監督はダンサーでもある吉開菜央さん。控えめに言って気鋭です。 

【あらすじ】 
さと子の家には、四人の踊り子が隠れ住んでいる。 
お互いのからだを愛で合って戯れる彼女たちは、さと子の奏でる音楽を愛している。 
そして彼女たちにはもう一つの楽しみがあった。 それは家の中の匂いを集めて、風呂に住むあの子に届けること…… 

   

舞台は古民家。台詞はいっさいなし。清潔な世界です。
ー ここでいう”清潔”とは意図がないこと。無機状態とは別物です。ー 

踊り子たちはお互いの体温や感触、肌のにおいを集めて糧としています。
その様子は恣意的で貪欲で不気味なほど無邪気です。

ところが浴槽を住処とする少女を見つけた時から、彼女たちの行為に変調が生まれます。
彼女たちは集めた”糧”を少女に分け与えます。ーーむしろ少女に届けるためにせっせと集めているようにも。

それまで自分の欲求に向いていたプリミティブな関心が、はじめて他者へ移ったのです。 
やはりそこに理由や思惑はありません。

彼女たちの無条件の行為から感じたのは懐かしさでした。
主に幼い頃、近しい人々が与えてくれた慈しみと同質の感覚です。
(もしかしたら自分が誰かに与えたくなることもあったような…) 

ひたすら純粋な善意。無意識なレゾンデートル。
本当のスキンシップが人にどのような作用をもたらすか…単純に心地よいものであると、思い出さずにいられませんでした。

ただし気をつけて!
その懐かしさに安心していると最後に裏切られます。

 そしてもうひとつの見所は踊り子たちのからだ
踊り子たちを演じているのは、上り坂の若手コンテンポラリーダンサー4人。
なるほど、肉体のうつくしさは特筆ものです。

なにより彼女たちの手や首が描く非日常的な動線は、目に見えるリズムを生み出し、一瞬も見逃したくないほどの魅力です。
前述の清潔な世界観を表現するにおいて、最重要なファクターを成しているのは間違いありません。

それにしても…あぁ…誰かに触りたくなるなあ…。


 ★公開は新宿K'sシネマにてあと数回なので気になった方はお早めに!
http://spotted.jp/2014/07/hottamarubiyori/ 

★DVD&フォトブック制作応援プロジェクトも要チェックです。
http://camp-fire.jp/projects/view/1128