2014年6月10日火曜日

【Vol.4WEEK!】絵画・meets・香り【ひ・と・り・あ・そ・び】





絵にも香りがあるんじゃないか?
眺めているだけで香りが広がっていくような気がする。そんな絵がある。

その香りを確かめたい。実在するものがないならせめて近しい香水をあてはめていきたい。

たとえばモネ『睡蓮』。
時間により光の受け方や色が変わる様は生き生きと美しい。
水面から立ちのぼる水蒸気をまといながら匂いたつ香りは蓮香オードパルファムのイメージだ。蓮を再現したその香りは瑞々しく生命感がある。


ドガ『エトワール』はどうだ。
下から人工的な光で照らされている踊り子の躍動には狂気すら感じる。
フェミニンな少女性と背徳感。当時抱えていたバレリーナの事情がすべて描かれているようだ。
苦悩を慰めるのは華やかな香りでなければならない。とすれば……ジョーマローン『レッドローズ』がぴったりだ。ローズやスミレがふんだんに使われた高貴な香り。それは実際には残酷さが増す。


すぐに香りのイメージが浮かんだのはリキテンシュタイン『ヘアリボンの少女』。
「漫画的」と評されるポップな印象は『ロリータ レンピカ』以外にない。悩ましげな表情と赤い唇、大きなリボンとデフォルメされた少女性には桃やバニラのむせるような甘い香りが似合う。夢見るようなボトルデザインも官能的だ。


ピンとくる香りを探すのが難しかったのが北斎の『凱風快晴』。
このタイトルの別名は「赤富士」。夏の季語でもある。
朝靄、蝉の声、赤富士から連想されるのは幼い頃の夏を思わせるノスタルジーなキーワード。
郷愁感の気分にはブルガリ『プチママン』がしっくりくる。シッカロールを思わせる穏やかで切ない香りだ。


最後にダ・ヴィンチ『モナ・リザ』。
有名すぎるこの名画。困った事に何の香りも思いつかない。
きっと時間が止まってしまったような静けさのせいだろう。
謎めいた世界はこちらの想像力では太刀打ちできないのだ。

絵画に向きあった時、嗅覚にも意識してみてはどうだろう。
もしかしたら視覚よりも正直なイメージが膨らむような気がする。

0 件のコメント:

コメントを投稿